クリニックのトラブルを防止する就業規則とは

クリニックならではの労務管理

第2回のテーマは、「クリニックならではの労務管理」です。


・採用では慢性的な看護師不足があります。職安やチラシやネット媒体を駆使したとしても、思うように応募者は集まりません。特に午後の時間帯を働いてくれる方を確保するのは至難の業です。したがって、最近では、やむなく紹介派遣会社を使用することも増えています。また、以前なら、比較的確保が容易であった事務員も、最近では人出不足が顕著になり、看護師同様に厳しくなってきています。特に、レセプトのできる医療事務経験者は特に不足しています。


・クリニックでは、職種ごと(看護師・医療事務・理学療法士・放射線技師など)最低限の人数で運営されていることが多いため、何かの要因で休職者が出た場合に、カバーできる人材がおらず欠員になると途端に困ることがあります。最近では、当然の権利のように産休・育児休暇を取得する職員も増えており、その間の労務管理にも苦慮しています。例えば、産休育児休暇を取得したとすると、少なくとも1年2ケ月間、長ければ2年近くも休むことになります。小規模人数で運営するクリニックにとっては、非常に厳しい状態が続くのです。


・クリニックの特徴として、受診希望の患者を拒否できないため、一定数を超えれば必然的に残業が発生します。特に外来数の多いクリニックでは、慢性的な残業が発生します。採用にも影響しますが、月の平均残業時間が多いと応募するのを敬遠される傾向にあります。


・さらにクリニックとしての特徴として、従業員が突然退職することがあります。女性中心の職場環境によるものですが、結婚・出産やご主人の転勤に伴って、何の前触れもなく突然に退職を希望されます。また、その事の告知から実際の退職日までの時間的余裕が少ないことが多く、その対処には、どのクリニックも苦慮しているのです。


クリニックの労務管理で最も悩むのが「解雇」です。


女性中心の職場環境のよるものかもしれませんが、職場内の人間関係が原因で解雇となるケースがあります。従業員の集団の中で、対立が生まれ、日々の業務がスムーズに進まなくなると、経営者としても放置できません。その原因となった対象者たちからもヒアリングを行い、再発防止に向けて助言や指導はするものの、どうしても修復できない時は解雇となることもあります。


昇給について多くのクリニックでは、昇給に関する規定がありません。また、実際の昇給に関しても明確な基準もありません。多くのクリニックでは、各地区での医師会基準を目安に行っているのが実情ですが、最近では、人出不足からの影響もあり、世間相場からの乖離から従業員から不満が出ているケースもあります。

 

こうようなトラブルを防止するためには、給与規定や内規の中で従業員にも将来像がわかるように規約を定めておく必要があります。


賞与についても多くのクリニックでは、賞与に関する規定がありません。また、実際の賞与に関しても明確な基準もありません。多くのクリニックでは、税理士からのアドバイスをもとに行っているのが実情ですが、昇給よりも敏感に従業員は反応します。


賞与は、そのクリニックの業績を反映するものなので、特に外来が忙しく残業が多いようなクリニックは、ある程度業績を反映しなければ、従業員は納得しません。


こうようなトラブルを防止するためには、給与規定や内規の中で従業員が将来に期待が持てるように規約を定めておく必要があります。

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