218人の先輩開業医の経験から見えた、集患に向けた大切な3つのこと

218人の先輩開業医に聞きました

「クリニックを開業して本当に患者さんは来てくれるのだろうか」というのは、クリニック/診療所を開業される多くの先生が抱える不安ではないでしょうか。クリニック開業後の集患で成功確度を上げる「ポイント」はどこにあるのでしょうか?

「MedPeerクリニック開業・経営」編集部では、先輩開業医218名に「クリニック開業後の集患」をテーマに、アンケートを実施いたしました。

本アンケートはMedPeer医師会員で、継承ではなく新規開業をされた開業医の先生を対象に調査をしています。回答者の70%が、ここ10年以内に開業した「比較的最近に開業した先生」です。

 

編集部では、MedPeer医師会員である先輩開業医の先生へのアンケートを通して見えた「集患のポイント」を3つの記事に分けてお届けします。

第1回目は、開業後の集患の成功に向けて「開業前に抑えるべき大切なこと」をテーマに、調査結果を見ていきたいと思います。

 

集患に苦労した先生は約半数/苦労しなかった先生は3割

そもそもクリニックの開業後、どの程度の先生がクリニックの集患に苦労されているのでしょうか。

 

答えは、約半数です。
開業後の集患に「非常に苦労した」先生が21%、「苦労した」先生が26%と、約半分の先生が集患に苦労されたことが伺えます。

一方で、「全く苦労しなかった」先生が9%、「あまり苦労しなかった」先生が25%と、3割以上の先生が集患に苦労されなかったというのは興味深い結果です。

集患に苦労したケース、集患に苦労しなかったケースを分けた要因は何だったのでしょうか?

 

集患に苦労した理由

集患に「苦労した」ケースについて、苦労した背景についてのコメントを見てみましょう。

その内容を見てみると、その集患に苦労した理由は大きく
 ・「地縁がない/患者引継ぎが出来ない」
 ・「競合の問題」
 ・「立地の問題」
 ・「診療科の特性」
の4つに整理できることがわかります。


特に地縁がない/患者引継ぎが出来ないという、いわゆる「落下傘開業」が集患に苦労した要因として最も多く挙げられていることがわかります。
ひとつずつコメントの中身を見ていきましょう。

「地縁がない/患者引継ぎが出来ない」で集患に苦労

「落下傘開業で借金は8000万・・・宣伝にもお金はかけられず・・・ひたすら口コミのみでした。いまだに苦労しています。」
-泌尿器科/(集患に)非常に苦労した

「基幹病院の 内科トップだったので勤務医の時にはそれなりに知名度があると思っていたが、医師以外の、一般の方には知られていなかった。病院から連れてきた患者さんが極端に少なくいつもがらがらで心配だった。」
-内科/(集患に)非常に苦労した

「大学とは違う県の嫁の実家で開業。やや離れた総合病院にて2年ほど勤務ののち開業。患者はほとんど連れて行かず。の新規開業で、嫁の父親は産科を開業していたが、もう亡くなっており、10年程廃業状態であった。患者数0の日もあったが、徐々に口コミにて患者数増加。現在何とか生活できている。」
-内科/(集患に)非常に苦労した

「競合の問題」で集患に苦労

「開業して1年したら歩いて10分の駅前(集患に)に同業のクリニックが開業した。いやがらせかと思った。」
-内科/非常に苦労した

「裏がライバルだったので苦労したが、徐々に増えていった。しかし、最初は何処も相手にしないような不良患者が多かった。」
-精神科/(集患に)苦労した

「立地の問題」で集患に苦労

「若い人の多い街で、慢性疾患の患者が少ないため。」
-内科/(集患に)苦労した

「ビルの3階だったから、3階まで上がってくる患者さんは沢山はいない。」
-内科/(集患に)苦労した

「診療科の特性」で集患に苦労

「今もそうだが、診療科の性質上患者にとっては敷居が高いようで、なかなか患者が自ら来院しない。」
-泌尿器科/(集患に)苦労した

「訪問診療をメインにしたクリニックなので、はじめは全然患者が来なかった。」
-内科/(集患に)苦労した

逆に、「集患に苦労しなかった」背景にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

集患に苦労しなかった理由

集患に「苦労しなかった」理由のコメントを見てみると、

・「地縁があった/患者引継ぎが出来た」
・「競合が少ない」
・「立地が良い」
・「診療科の特性」

の4つに整理することが出来ることがわかります。
つまり、「苦労した理由」の丁度逆の状況が、「苦労しなかった理由」に当てはまっていることがわかります。



コメントの中身も見ていきましょう。

「地縁があり/患者引継ぎが出来て」集患に苦労しなかった

「直近の基幹病院勤務が長かったので、新規開業時に以前から見ていた患者さんが200人以上来てくれた。近在に競合する循環器科がなかった。」
-循環器内科/(集患に)あまり苦労しなかった

「10年余り勤めた病院の近くに開業したこと、あと自宅も徒歩圏で子どももまだ小学生で付き合いもそれなりにあり、地元では小児科医として認知が高かったこと。」
-小児科/(集患に)あまり苦労しなかった

「それまで勤めていた患者さんがほぼ全員来院してくれたため」
-ペインクリニック内科/(集患に)あまり苦労しなかった

「競合が少なく」集患に苦労しなかった

「医師過疎地帯であり、特に宣伝しなくても患者が来院した。」
-内科/(集患に)あまり苦労しなかった

「交通の便の悪いところで、地域に初めて出来た眼科診療所だったので。」
-眼科/(集患に)あまり苦労しなかった

「立地が良く」集患に苦労しなかった

「立地を十分に練って事前に検討した。開業地は自宅の近くで人通りがあらかじめ予想できた。路面の店舗を選び、ベビーカーでもそのまま入られるようにした。」
-小児科/(集患に)全く苦労しなかった

「もともとあった内科のクリニックがビルになり中にいれてもらった。患者さんが最初からくるので苦労せず」
-皮膚科/(集患に)あまり苦労しなかった

「JRの駅前でかつ近隣に他に皮膚科がなかった。立地の選択が良かったと思う。」
-皮膚科/(集患に)あまり苦労しなかった

「診療科の特性で」集患に苦労しなかった

「小児科なので立ち上がりは良いことが多いです。」
-小児科/(集患に)あまり苦労しなかった

「皮膚科は自然と集まります。」
-皮膚科/(集患に)あまり苦労しなかった

 

「開業時の集患で大切な3つのポイント」

集患に「苦労した先生」/「苦労しなかった先生」のコメントから見えることは何でしょうか。

どちらのケースでもその要因の多くは、「地縁」/「競合」/「立地」/「診療科の特性」の4つに分けられることを見てきました。競合の有無は広い意味での「立地条件」の一部ですから、集患に大きな影響を与える要因としては、大きく

①    地縁/患者引継ぎという要因
②    立地という要因
③    診療科特性という要因

の3つに整理されることがわかります。

どれもよく言われる内容ではありますが、この3つの要因はどれも「開業時点」で
大部分が決まってしまうということが重要です。

これから開業を志す先生は、開業時の時点で
①    地縁        :地域で知名度やネットワークはあるか/患者さんの引継ぎは可能か
②    立地        :当該診療科の患者規模や競合クリニックの展開状況
③    診療科特性    :開業を検討している診療科の集患上の特性
の3つを確認してみるとよいかもしれません。

特に、地縁のありなし/患者引継ぎが出来るかどうかは、クリニック開業後の立ち上がりを大きく左右する要因であることが本調査結果からも強く読み取れます。地縁がない状況での開業=落下傘開業を選ぶ場合は、そのデメリットを補う手法を事前に検討することが重要です。

もちろん、クリニック開業時点の条件が不利でも、挽回する施策はあります。次回は、クリニック開業後の集患施策にはどんなオプションや特徴があるのか、実際に開業された先輩開業医の声から探ってみたいと思います。

この記事をシェアする

バックナンバー

関連記事