218人の先輩開業医に聞いた、集患施策でやってよかったこと

218人の先輩開業医に聞いた、開業後の集患施策

先輩開業医218名のアンケートから開業時の集患について探る本連載、第2回目は「集患施策でやってよかったこと」がテーマです。

前回は開業前に考えるべきことを、集患に「苦労したケース」と「苦労しなかったケース」の比較から3つのポイントに絞って検討してきました。今回は開業後の具体的な集患施策について、どんな施策が「やってよかった」施策なのか、先輩開業医の声から探っていきたいと思います。

なお、記事の中で診療科別の集患施策の傾向の違いも分析していますが、診療科ごとに分けた場合はサンプル数が少ない中での分析であることはご留意ください。

それでは、さっそく、先輩開業医の声を見ていきたいと思います。

 

やってよかった集患施策TOP3

まずはシンプルに、やってよかった集患施策TOP3を見ていきましょう。
「実施して良かったと集患施策」の上位ふたつを先輩開業医に答えていただいた結果、TOP3は、
第一位:「自院のホームページの開設」
第二位:「医師会への参加」
第三位:「物件・立地の慎重な検討」
でした。
※該当なしを除く

 

 

自院のホームページの開設

「自院のホームページの開設」は、回答医師の約半分がやってよかった集患施策にあげる圧倒的な第一位でした。先生のコメントを見ると、新患患者さんのかなりの割合が来院前に一度HPを見られてから来院されるということから、HP開設を重視されているようですね。

「HPを見てきたという患者が多数。自費診療に関してはなおさら。実際新しい情報により来院する人が多い。」
-皮膚科/開業5年以上10年未満

「新患の来院理由調査でインターネットを見て来院した患者が3割程度いるので。」
-内科/開業5年以上10年未満

「若い世代を中心にホームページを検索して来たという患者さんが全体の2割を占める」
-内科/開業5年未満

「スマートフォンの普及で、患者さんは直ぐに現在地の近くにある診療所を検索できる。ホームページは必要。」
-耳鼻いんこう科/5年以上10年未満

 

医師会への参加は大きく、①健診・予防接種などの参加機会/②地域医療機関との連携機会のふたつがメリットにあげられています。

「小児科医としては不可欠な予防接種、乳児健診の手続きがスムーズにいった。」
-小児科/開業5年以上10年未満

「健診・予防接種・学校医・夜間休日診療などの業務も一緒に実施できた。」
-内科/開業5年以上10年未満

「地域の先生と仲良くなれて、地域連携にとても役に立ちました。」
-糖尿病内科/開業5年以上10年未満

 

マイナーだけど効果が出た集患施策

「実施して良かった集患施策」の上位3つを見てきました。本調査では、「実施して良かったと集患施策」だけでなく、「実施した集患施策すべて」についても併せて調査をしています。
 

「実施して良かったと集患施策」と「実施した集患施策すべて」を比較するとどのようなことが見えるでしょうか。「実施した集患施策すべて」の内、「実施して良かった集患施策」に選ばれた率を分析したのが下記の表になります。

「実施してよかった」選択率でみると、TOP5の内4つが、ネットを活用した集患施策であることに気づきます。特に「HPの開設」は、実施した率も、実施して良かった率も高い施策で、ほぼ必須の集患施策と言ってよいかもしれません。

さて、ここで着目したいのは「SNSやブログなどでの情報発信」と「SEOやSEMなどのオンライン広告対策」のふたつです*。

この両者はアンケートの中で実施した施策で挙げられた先生は約10%と、実施率は低いマイナーな施策ですが、「実施して良かった」選択率ではTOP5に入ります。

「情報発信を見て、診察室での話題として取り上げてくれる患者さんが少なからずいる」(SNSやブログなどでの情報発信)
-内科/開業5年未満

「まだまだ少ないですが、こちらの思っていた以上に、見てくれている」(SNSやブログなどでの情報発信)
-皮膚科/開業5年以上10年未満

「地域 x 診療科 で比較的上位に当院が検索されるため」(SEOやSEMなどのオンライン広告対策)
-循環器内科/開業5年未満

SNSの利活用や、SEO/SEM対策などは、まだ一般的と言える施策ではありませんが、逆に言えば自院を差別化する有効な手段になる可能性を秘めています。独自性のあるクリニックの開業、競争が激しい地域での開業、などではこうした取り組みも検討してみてもよいかもしれません。

もうひとつ、TOP5に入るネットを活用した施策に「予約システムの導入」があります。これは特定の診療科ではかなり導入が進んでいるシステムです。次にこうした、特定診療科で人気な集患施策を見てみましょう。

*SEOは「診療科×地域」などで患者さんが検索した際に、上位に自院HPが掲載されるようにHPの構成や内容などを工夫する取り組みです。SEMは「診療科×地域」などで患者さんが検索した際に、検索画面に自院へのリンクが掲載される広告サービスです。


特定診療科で人気な集患施策

全体で見るとそれほどメジャーな施策ではないけれど、診療科によっては人気の集患施策があります。「予約システムの導入」と「近隣の総合病院/クリニックとの連携」というふたつの施策を見てみましょう。

予約システムの導入

予約システムは、全体としてみればまだそれほど浸透しているサービスではありません。ですが、小児科/耳鼻いんこう科に限ってみると、3割前後の先輩開業医が、「やってよかった施策」に予約システムの導入を挙げています。
 

ふたつの科は、共に小さな子供とその両親の来院が多い科です。待合室でいろんな風邪を貰うことを避けたいという、患者さんのニーズに応える形でこうしたサービスが浸透し始めていることがわかります。

「今の時代は若いお母さんはみんな携帯で予約できます。」
-小児科/開業5年以上10年未満

「完全予約制にして、待ち時間を殆ど無くした。予防接種はオンライン予約のみにして、接種過誤の回避を達成した。」
-小児科/開業5年未満

「予約システムがある診療所を選ぶ患者さんは増えている。スマートフォン普及と多いに関係している。」
-耳鼻いんこう科/開業5年以上10年未満

「受診後、次回予約を取って帰る患者が多く、多くの場合リピーターとなった」
-耳鼻いんこう科/開業20年以上

近隣の総合病院/クリニックとの連携

もうひとつ、特定の診療科で評価が高い集患施策が「近隣の総合病院/クリニックとの連携」です。

 


循環器内科・泌尿器科に多いという結果が出ています。この2科に限らず、専門特化クリニックではこうした病診連携・診診連携施策が重要であることが伺えます。

「困った症例を紹介できる。安定期の患者さんを紹介してくれる。」(近隣の総合病院との連携推進)
-循環器内科/開業10年以上15年未満

「特殊な科のため大学病院、総合病院から紹介患者が来院する。」(近隣の総合病院との連携推進)
-麻酔科(ペインクリニック)/開業15年以上20年未満

「専門外の疾患を近隣医療機関に紹介しまくっていると、当院の専門の患者を紹介してくれるようになった。」(近隣のクリニックとの連携推進)
-内科/開業5年以上10年未満

 

開業後の集患施策をどう考えるか

今回は、218人の先輩開業医の声から、開業後の集患施策にテーマを絞ってみてきました。この調査を通して見える集患施策を検討する際のアプローチを整理してみると、下記のようになるのではないかと思います。
 

1.    王道を抑える
2.    診療科特性に応じた集患施策を検討する
3.    (余力があれば)差別化に繋がる集患施策にチャレンジする

218名の医師が支持した集患施策の圧倒的なトップは「自院のHP開設」でした。様々な施策に取り組むよりも、まずは、HP開設などの王道を丁寧に抑えるということが重要かもしれません。HPは「SEO/SEM施策」や「SNSによる情報発信活動」などと組み合わせるとさらに効果的になるので、この集患施策ひとつだけでもこだわれる点は多くあります。

併せて、自院の診療科特性に応じた施策を検討することも重要です。今回は予約システムと病診・診診連携のふたつを取り上げましたが、診療科によって変わる集患の工夫というのは多くあります。

筆者が小児科の開業医の先生とお話をしていて、「お母さんがどういうところに目を向けるか考えて見る」ということを仰っていたのを聞いて、「なるほどな」と思ったことがあります。例えば屋外広告ひとつをとっても、小児科の場合は駅前広告よりも通学路沿いの電柱広告の方が意味がある、と仰っていました。こうした患者さんの視点に立って集患施策を考えるアプローチは、どの診療科でも参考になりますね。

最後に、余力があれば検討をしてみたいのは「差別化に繋がる施策」の検討です。SNSの利活用や、SEO/SEM施策などは、まだ実施されるケースが少ない分、差別化に繋がる可能性があります。特色のあるクリニックの立ち上げられる先生は、検討してみてもいいかもしれません。

先輩開業医218名のアンケートから開業時の集患について探る本連載、第2回は「集患施策でやってよかったこと」をテーマに開業後の集患施策を見てきました。

次回、第3回では、先輩開業医にお寄せいただいた「これから開業される先生へのアドバイス」を、診療科毎にみていきたいと思います。

 

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