218人の先輩開業医からのアドバイス(前編) -内科・小児科・耳鼻いんこう科・精神科

218人の先輩開業医からのアドバイス(前編)

先輩開業医218名のアンケートから開業時の集患について探る本連載、連載最後の第3回は「218人の先輩開業医からのアドバイス」がテーマです。

診療科別に先輩開業医から寄せていいただいたこれから開業される先生に向けたアドバイスを、前編・後編に分けてお送りします。前編は内科・小児科・耳鼻いんこう科・精神科の先輩開業医からのアドバイスです。
 

内科

最もクリニック数が多い診療科である内科、本アンケートでも一番多くの67名の医師から回答をいただけました。
一番メジャーな診療科故か、第一回の記事でご紹介した「地縁」と「立地」という基本を抑えるアドバイスを多くいただけました。

 

立地選定が重要

「場所としては、大学、勤務していた病院の近くがよいと思います。できたら慢性疾患の患者さんを何人かつれて開業してください。私のように知らない地域で開業すると、慢性疾患の患者さんはほとんど受診されません。開業形態にもよりますが、設備は簡素が良いと考えます。ほとんどの機械はペイできません。」
-近畿地方/開業20年以上

「すべては立地条件だと思います。地方の場合は駅至近というよりも幹線道路沿いとか車で来院の方がほとんどと思いますので、駐車場の確保の方が大事だと思います。本来なら高齢化社会に備え、都市近郊あるいは都心でも駐車場と連携するなど車という交通手段を考えるべきです」
-中部地方、開業10年以上15年未満

地域に溶け込む

「地域に溶け込むことです。産業医活動はもちろんのこと、学校医活動やPTA活動からも知り合いが増えてゆきます。患者さんのリクエストにこたえること。施設に入った患者さんに往診を頼まれたら、それが100倍になることもあります。」
-中国地方、開業20年以上

「都市部のことは良く知らないので郡部限定での話になるが、やはり何よりも役立つのは地域住民の口コミ。地元に住んで、地域の人々の信頼を取り付けてからの開業というのが一番であろう。」
-四国地方、開業5年以上10年未満

丁寧な診療が基本

「親切に対応する。よく話を聞く。困っていることが何かを見極める。大学病院での対応とは全く正反対のことをやっている感じがします。」
-首都圏、開業5年以上10年未満

「一人一人丁寧に診ること。いずれの形でも患者さんをゴールに導くこと(専門科へ紹介でも良い)。患者さんが診てもらって良かったと思えば、知り合いに伝えます。集患につながります。」
-首都圏、開業5年未満

「やはり口コミの力が大きい。日々、目の前の患者に丁寧な対応をしていれば、良い印象を持った患者が次の患者を呼んできてくれます。」
-東海地方、開業5年未満

自分の健康と家族の理解が大切

「とにかく自分の健康と家族の理解が必要と思います。そして苦労を共にしようと思ってくれる仲間をどう募れるかが大きいように思います。苦労してもありがとうと多くの方に言っていただける仕事ですから、頑張れます。」
-近畿地方、開業5年以上10年未満

 

小児科

子供(とその親)が患者層となるということが、集患を考えるうえで非常に重要になってきます。予防接種・乳児検診への参加、土日診療のニーズ、第二回の記事でもご紹介した予約システムの導入など、どれも子供とその両親のニーズに応えるための工夫ですね。

予防接種・乳児検診への参加

ワクチンや乳児健診があるので、地元の医師会に入るのは必須といえるでしょう。 あとはいままで通りの診療をすればあまり心配はいらないでしょう。」
-首都圏、開業5年以上10年未満


「乳児、幼児の健診事業や学校医、園医などの学校保健活動、急患センターなどに積極的に参加されることが大切かとおもいます。」
-中部地方、開業5年以上10年未満


「保険診療はどんどん厳しくなっています。処方薬の突合照合で点数を削減し、レセプトに難癖をつけ返戻が増えています。収入の半分は、健康診断と予防接種の自費診療でまかなっています。これからはもっともっと厳しくなると思いますので、小児科単科での開業はお勧めできません。」
-近畿地方、開業10年以上15年未満

土日診療にニーズあり

「一般患者と予防接種、健診患者が混在しないように待合室を別にして、時間制限無くいずれもみられるようにした。また、土曜日午後、日曜日の需要は大きいので、他のクリニックが閉じている時間に診療することを検討すべきだと思う。」
-首都圏、開業5年未満

「時間外診療への対応、発達障害への対応、アレルギー疾患診療の充実,後方病院との関係を良好に保つことは増患に有利かと思います。」
-中部地方、開業10年以上15年未満

ホームページと予約システムは必須

「スマートフォン対応のホームページや、 予約システムの導入を考えるほうが良い」
-近畿地方、開業10年以上15年未満


「ホームページと予約システムはマストです。サイトは出来るだけ視認性を高めるようにしたほうがいいです。」
-東北地方、開業5年未満

 

耳鼻いんこう科

耳鼻いんこう科も、子供(とその親)が患者層となりやすいということで、小児科と似たアドバイスが多く寄せられました。花粉症需要を見込んだ開業時期の考え方も、参考になります。

開業時期の考え方

「開業時期は、秋が良いと思う。開業当初は患者が少ないので、スタッフが仕事に慣れる頃に花粉症シーズンを迎えることができるため。」
「ホームページは必要。出来れば予約システムも同時に採用した方が良い。最近は年配の方でもスマホを使用され、予約される事も多い。広告は、屋外看板だけで良い。電話帳広告は不要、今どき電話帳を見る人はごく少数。」
「何より、自分の信念を持って診療スタイルが揺らがないようにする。患者さんへの挨拶と、笑顔が重要。患者さんの数の少ない開業当初は、笑顔でよく話を聞き、治療を提案する。時間をかけて応対すると良い。口コミでいい内容が広がる。スタッフも笑顔で挨拶するよう、教育することが重要。」
-近畿地方、開業5年以上10年未満

小児患者を意識

「小児の割合が高く近隣からの受診が多いため、駐輪スペースは十分であること、入りやすい雰囲気を作ること。耳鼻咽喉科では診療単価が低く、数が多くないと収益できないが、多くなってくるとどうしても説明が少なく不十分になるので、簡潔にかつ丁寧に診察を行うこと。」
-近畿地方、開業5年以上10年未満

「小児患者が多く若いお母さん方は診療技術はもちろんだが、クリニックのきれいさやアメニティーの良さを求める。」
-東海地方、開業20年以上

「耳鼻科の場合はこどもが来院するかどうかが問題になるので、ご家族への説明などを丁寧におこない、集客をふやす必要がありました。」
-近畿地方、開業5年以上10年未満

時間外診療

診療時間を長く、診療曜日を多く、可能な限り新しい治療、検査を導入すること。繁忙期には臨時診療を設ける。夏季休暇や年末年始の休みは官公庁並みに短くして、とにかく、他院が診療していない時にも診療すること。」
-首都圏、開業5年以上10年未満

 

精神科

立地の考え方が他科と異なる精神科では、立地よりも丁寧な診療の継続による「口コミ」の重要性に言及される先生が多い傾向にありました。通院条件を柔軟にするなど、患者さんに合わせた工夫も参考なります。

特色を出す

「特色のある診療所にする必要があると思います。とくに都心でたくさん近隣に診療所がある場合は。」
-近畿地方、開業5年以上10年未満

「自分なりの開業のコンセプトを一貫して待つことが重要。口コミの力も大きいので、丁寧な診療か大切。」
-九州地方、開業5年未満

丁寧な診療の継続

「精神科に限らずだが、医師患者の信頼関係を築くために丁寧に診療を続けて来たことから少しずつ口コミも増えて来たように思われ、それが前述のHPや医療サイトへの情報確認とリンクして来たように思われる。」
-首都圏、開業5年未満

「立地と最終的には患者さんのニーズにこたえられる臨床能力かと思いました。それがないとせっかく得た患者さんが長続きしないと思います。」
-首都圏、開業5年未満

患者を選ぶ

「どんな患者でも受け入れていると、後でもめたり、ほかの患者の迷惑となるような状況が生じたりすることがあるので注意が必要。」
-近畿地方、開業5年以上10年未満

「薬物中毒者やガラの悪い患者は避けること、類は友を呼ぶで常連者が集まると後々大変なトラブルに巻き込まれる危険性あり。」
-九州地方、開業5年以上10年未満

通院条件を柔軟に

「一般的な起業における集客の課題と基本的に変わりはないと思う。診療科特有の注意点を強いて挙げれば、精神疾患で困っている方々は、大なり小なり認知機能に影響があり、日常生活や社会生活に支障を来している点で、医院やクリニックのペースを予約や通院などの条件を強要できない点だと思う。」
-九州地方、開業5年未満

「①初診・再診とも予約不要②土日祝日も診療③夜遅く(20-22時頃)まで受付をホームページ上で強調する。ツイッターやブログなど、ネットで無料で行えるもので良いのでひたすらこれらを強調する。経営が安定したら予約制にして、土日祝日の診療を制限あるいは中止すればよい。」
-首都圏、開業5年以上10年未満

後編へ
前編では、内科・小児科・耳鼻いんこう科・精神科の4科の先生からのアドバイスを見てきました。                                                                                                                           後編では、皮膚科・眼科・整形外科・消化器内科・循環器内科の5科を見ていきます。皮膚科以外は一定の設備投資が必要な科です。前編の4科とはまた異なる集患の工夫をご紹介します。
 

 

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