開業事例インタビュー記事

開業事例〜ドラッグストア2階テナントで開業したみうら皮フ科クリニック〜(後編)

みうら皮フ科クリニック

みうら皮フ科クリニック

▲みうら皮フ科クリニック 院長 三浦和久氏 

→前編はこちら

「町のお医者さん」を目指し一般皮膚科として開業


急性期病院で勤務していた頃に、転院・退院された患者さんのその後も診ることができれば…という気持ちが強くなっていたことや、最初から私が目指していたのが「町のお医者さん」であったことから、開業する時は美容に特化した皮膚科ではなく一般皮膚科でと決めていました。
開業にあたって意識したのは、次のようなことです。

●特長となる機器の導入

一般皮膚科として“強み”になるものは、と考えて導入したのが紫外線治療のための光線療法・ナローバンドUVB全身照射装置です。愛知県内にまだ3台しかないので、この治療のために定期的に通院してくれる患者さんが見込めます。実際、この治療が目的の患者さんが多く来院していますし、大学病院や市内の基幹病院からの紹介も増えています。

▲愛知県内に3台しかないという光線療法・ナローバンドUVB全身照射装置

●建物・設備へのこだわり
近隣には高齢者も多いため、トイレも含めオールバリアフリーにはこだわりました。車椅子のまま使える足洗い場も導入したかったものの一つです。2つの診察室と処置室を当初の希望通り設置し、最近の傾向として当たり前になっているWEB予約システムも取り入れました。テナントの限られたスペースではありましたが、一通りのことは自分でできる環境が整えられたのはよかったと思います。

▲車椅子にも対応したトイレ、足洗い場を設置

▲広々とした処置室                   ▲診察の順番は待合室の画面に表示される

●スタッフ
スタッフの採用も一からでしたが、ありがたいことに開業時の応募はたくさんありました。ただ19時までの診察という時間的な条件に合う方がなかなか見つからず、そういう点では苦労したかもしれません。
●事業計画・資金面
事業計画の作成にあたっては、DCPソリューションに協力してもらいました。1日に200人診られる医師もいますが、私の診察スタイルだと80人/日が最大と考え、そこを限界値に設定して計算しています。その数字をベースに抑えられるところは抑えて準備をしましたが、初期コストなどは想定内に収まりました。唯一コストがかかったのは紫外線の照射装置くらいですがが、導入しても十分採算が合う計算になっています。
●診察時間
競合の皮膚科医院との差別化のため、午前終了を30分遅い12時30分まで、午後の診察時間のスタートを30分早い15時30分からに設定しました。終了時間は19時ですが、仕事帰りに受診される患者さんが多いので助かると言われることも多いです。


開業して1年未満で2年目の目標を達成

開業して1年に満たないのですが、2年目の目標としていた収入には既に達しています。集患数の目標にはまだ少し足りないのですが、紫外線照射治療の患者さんが多いので、金額的にはクリアしている状況です。
患者さんは高齢者の方が多いと予想していたのですが、蓋を開けてみると思ったほどではありませんでした。年配の方は義理堅いのか、それまでお世話になった通院先を変えようという方はあまりいないように思います。ただ、少し体が不自由になって、今までのところに通院するのが大変だから、オールバリアフリーの当院に来ることにしたというケースはあります。また近隣のデイケアサービスからスタッフに付き添われて診察に来る患者さんもいます。
予想外だったのは、若い患者さんが多いことです。周辺に下宿している学生さんがニキビ治療のために来院したり、近くのスイミングスクールに通っているお子さんたちがレッスン帰りに来られたり。ニキビ治療の評判を知り合いに聞いて来る患者さんもいますので、ニキビ治療やビタミン注射、フェイシャルケアなどにもう少し取り組んでもいいのかなと軌道修正も考えているところです。
子供さんが多く通ってくれているので、その患者さんたちが成人するまでかかりつけ医として関わりたいというのも、私の願いです。

 開業してまだ短いですが、今の課題は午前中の患者さんをどう増やしていくかです。午後と同じくらいのペースが理想なのですが…。患者さんの数は増やしてはいきたいものの、丁寧に患者さんを診たいというのも私の目標なので、そのバランスを取りながら課題を解決していければと思います。
またクリニックの将来を見据えると、私自身も医師としてだけではなく、創業者、事業主としてのカリスマ性が必要なのだろうと感じる日々です。


ドラッグストア内の開業にはさまざまなメリットが

 DCPソリューションは、開業前も開業後もいろいろな面でサポートしてくださっているので本当に助かっていますし、ドラッグストア内のテナントで開業したからこそ良かったなと思うこともあります。来店する方が多いので看板が自然と目に入り、集客に繋がるのはもちろんのこと、調剤薬局と連携できるのもメリットです。薬に関する最新の情報提供はもちろん、たとえば「この薬がなくなりそうです」など、きめ細かくお知らせしてもらえるのもありがたいです。これが門前薬局だと、どうしても皮膚科でよく処方する薬がメインになってしまいますが、その点、1階の調剤薬局はいろいろな病院の処方箋に対応しているため、薬の品揃えも豊富で、内科的な薬を処方しても大体在庫があるのも助かります。
 また診察の待ち時間に患者さんが「1階で買い物しています」ということもよくあり、順番を待つ間に時間を潰してもらえるのは思わぬメリットでした。
 これから開業を考えていらっしゃる方にアドバイスするとすれば、なるべく若いうちに、ということです。借金するのは若いうちだと思います。70歳ぐらいまで働いて返済しないといけないのは結構なプレッシャー。家を建てる時と同じで、チャレンジするならなるべく早く、と言いたいです。

▲スギ薬局原南店2階に開業

 

取材・文/清水真保 撮影/貝原弘次

■プロフィール
三浦 和久(みうら かずひさ)
名古屋市立大学医学部 卒業
愛知県がんセンター 血液化学療法部
名古屋市立大学医学部 第二内科
愛知医科大学 血液内科
愛知医科大学 皮膚科
トヨタ記念病院 皮膚科
総合大雄会病院 皮膚科 部長
 

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