開業事例インタビュー記事

開業事例 〜『健康教室』開催が地域貢献とクリニック周知に繋がった なかじま内科クリニック〜(後編)

なかじま内科クリニック

なかじま内科クリニック

▲なかじま内科クリニック 中島英洋院長・中島尚子副院長 

2019年5月、兵庫県伊丹市の阪急OASIS2階に開業したなかじま内科クリニック。院長、副院長共にアメリカでの研究生活を経て帰国し、大学教授や厚生労働省の検疫所長を勤めたあと、これまでの経験を地域に還元したいと50代での開業を決意。開業までの準備や集患のためにどのような施策を行ったか、中島英洋院長と中島尚子副院長に伺った。

→前編はこちら

想定外に備えること、スタッフの教育に力を入れることが大切

院長「開業時にインフルエンザを想定して隔離待合室は作りましたが、新型コロナウイルスには分離が十分ではありませんでした。これから開業する方は、新型コロナウィルスのような感染症にも対応できる入り口や通路、待合室や診察室が必要かもしれません。テナントは一度工事して入居してしまうと、後々大きな改装は難しいので、これから開業するなら、最初によく計画を練ることをお勧めします。
あとは保険制度を十分知っておくことも大切。外来診療のみのクリニックではそれほど複雑なものではないので、スタッフが急に来られなくなっても対応できるように、自分でも会計チェックできるくらいにはしておいたほうがいいでしょう」

副院長「スタッフの教育もとても大事です。スタッフの対応一つで、患者さんが長く通って来ていただけるかに影響します。患者さんに良い印象を与えてくれるスタッフは、ある意味、医師の技能と同じくらい大切で、当院でも接遇教育には力を入れています。
スタッフの採用は募集媒体もいろいろあり、スマホなどで簡単に応募できるところからは多くの応募がありますが、なかなかこちらの希望する人材には出会えないこともあります。オープニングから今まで一緒にやってきたスタッフも半数以上いますし、その後も新しく来てくれた方もいます。よいスタッフに定着してもらえるように今後もさらに福利厚生を充実していかなければと思っています」

▲受付と待合室

年齢ではなく、開業したいと思った時が開業の時

院長「開業したのは医学部の同級生の中でも最後の方かもしれません。経営的なことは誠意を尽くしてやればなんとかなると考えていたのであまり不安は感じませんでしたが、私も副院長も一般大学や役所にいたので周囲に開業経験者がおらず、伝手がありませんでした。まずは情報収集から始め、多くの開業支援のコンサルタントに話を聞き、あちこちの物件にも足を運びました。契約形態も条件もさまざまでしたが、自分なりに勉強して取捨選択し決められるまでにならないと、開業のハードルを超えるのは難しいと思います
私たちの年齢を見たコンサルタントからは『今からですか?』と驚かれたり、継承でないと無理、医師がいないようなエリアでないとクリニックの立ち上げに時間がかかり、ゆっくり構えていられない私たちには難しいと言われたりしました。しかし、自分たちがどうしてもやりたい、どうしてもここがいいという強い意志があれば、なんとかなります。結局、自分が開業したいと思った時が開業に適した時なんですね」

副院長「コンサルタントの中には、勤務医のままだと生涯収入がいくら、開業した場合はいくら、また子どもを私立大学医学部に入れるのにはいくらないと無理ですよ、だから開業をお勧めします、などとお金のことばかり言う業者も複数ありました。
自分たちが望む開業医となるためにどうすればいいのかを考えて提案してくださるコンサルタントを選ぶといいと思います。開業はある意味で、それまでの人生をかけた大きなチャレンジですが、本当にやる気になれば年齢面でも資金面でもちゃんと支援してくれるところはあります。50代での開業でよかったことの一つは、資金面ですね。比較的貯蓄には余裕があったので、融資には全く問題がありませんでした」

新型コロナウィルスの影響を受けるも堅調に推移

副院長「2022年5月で丸3年を迎えますが、やはり新型コロナウィルス感染症の影響はありました。開業した2019年の冬は風邪症状の患者さんやインフルエンザの検査・治療も多かったのですが、コロナ後は商業施設の中のクリニックという事情もあり新型コロナ感染症の検査ができないため、風邪症状の患者様をお断りせざるを得ない事で、それがほとんどなくなってしまいました。しかし、新型コロナウィルスの予防接種や、渡航外来や渡航用ワクチンの接種、各種健診などにも力を入れ、収益的には楽になってきました。
開業前に税理士さんに3年は我慢ですよと言われましたが、予定より早めに余裕がでています。もしかすると、新型コロナウイルス感染症の流行が無ければ、もっと楽だったとは思いますね。これから開業する方は、今回のような状況がまた起こった場合、どうやって集患するのかを考えておく必要があるかもしれないですね」

院長「今後も早期発見や発症・悪化予防、再発予防により力を入れていくつもりです。阪神間には高度な医療が受けられる良い病院が多いので、患者さんを早期のうちに紹介し、最適な高度医療にアクセスできるようにサポートしたいですね。そのためにも患者さんとのコミュニケーションを大切にし、些細なことでも相談に乗れるようなクリニックでありたいと思っています」

▲阪急OASIS伊丹昆陽東店2階にあり、2階駐車場からもアクセスできる

 

取材・文/清水真保 撮影/貝原弘次

■プロフィール

院長 中島 英洋(なかじま ひでひろ)
筑波大学医学専門学群 卒業
筑波大学大学院博士課程医学研究科 修了
北里大学病院 胸部外科
筑波大学附属病院 循環器外科
ウェイン州立大学医学部 心臓胸部外科(米国ミシガン州)
インディアナ大学医学部 内科クラナート心臓病研究所(米国インディアナ州)
大阪青山大学 健康科学部健康栄養学科 教授
医療法人(財団)谷向病院(兵庫県西宮市)

副院長 中島 尚子(なかじま ひさこ)
東京女子医科大学医学部 卒業
東京女子医科大学 麻酔科
ウェイン州立大学医学部 心臓胸部外科(米国ミシガン州)
インディアナ大学医学部 内科クラナート心臓病研究所(米国インディアナ州)
厚生労働省
・関西空港検疫所医療専門職
・大阪検疫所検疫衛生課長
・中部空港検疫所支所長
・広島検疫所長
医療法人(財団)谷向病院(兵庫県西宮市)

 

 

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