失敗しないクリニック開業物件選定

物件選定 ~開業形態編② 単独開業・複数開業(医療モール)~

医療設計のコーディネーターをしています鈴木です。
 
開業する際に最重要事項の一つとなる『物件選定』。
前回の「開業形態」に続き今回は、単独開業・複数開業についてです。
 
まず、複数開業=医療モールについて記載致します。
2005年頃より医療モールが増えていることから、一度は言葉を聞いたことがあるかと思います。
 
医療モールとは何か?
 
明確な定義はありませんが、
一般的に「2施設以上のクリニック(医療機関)が同一フロアや同一敷地にて開業している場所」と認識されています。
 
医療モールの大きなメリットとして
良い場所で開業しやすい!
 と言うことです。
 
ここで言う良い場所とは
 ■駅ビル
 ■駅前
 ■商業施設の中
 ■商業施設のそば
 ■大型オフィスビルの中
 ■住宅街の中
 ■住宅街のそば
 ■市役所や学校、図書館などのランドマークのそば
などです。
 
つまり、人が集まる場所、集まりやすい場所で開業を行うことが出来る、と言うことです。
 
では、何故このような場所が医療モールとなるのか?
地主や建物オーナーがクリニックの入居を望んでいるからです。
理由として
 ・医療施設は廃業となることが非常に少ないこと
 ・短期間で退去することが少ないこと(賃料の安定収入)
 ・仮に退去したとしても、飲食店のような油や煙などによる汚れがないこと
 ・地域貢献になること
 ・建物のステータスが上がること
などです。
 
医療モールを分類すると図のように4つの形態に分かれます。
 
 
【医療ビル】
 
【医療フロア】
 
【医療ゾーン】
 
【医療ヴィレッジ】

医療モールについてのメリット・デメリットは下記となります。
【メリット】
☆診診連携が行いやすい
☆連携により質の高い医療の提供が可能
☆広告や集患など相乗効果の期待が可能
☆共用スペースの有効活用が可能
☆複数のクリニックが集まることにより、認知度が高まりやすい
☆病院のような一体型と認知される
☆良い場所で開業しやすい
☆調剤薬局がある
 
【デメリット】
▲医療モールの企画・運営会社により、集患対策などされていない場合がある
▲クリニック同士の連携が取れない場合がある(患者層が重なっていないなど)
▲空きテナントがある場合、マイナスイメージとなることがある
▲1つのクリニックのイメージが悪くなると、全体が悪いイメージに繋がることがある
▲クリニック間の橋渡し役的な人がいないと、バラバラとなることがある
▲モールのメリットがないと、単独開業と変わらない
▲内装工事の時に、業者指定(B工事)が入ることがあり、割高となる場合がある
▲一等地や商業施設などの場合、テナント料が割高
▲一等地のため、競合医院が周辺にある場合がある
▲スタッフ採用の時に他のクリニックと取り合いとなり、募集人数が少ないことがある
▲患者の取った、取られた問題が発生する場合がある
 
医療モールの開業は
好立地物件で出来ること、診診連携が出来るなどメリットばかりが表面に出てきますが、
デメリットもありますので、選択肢の一つとして物件選びの検討をすることが良いです。

それでは、単独開業のメリット・デメリットについてご紹介致します。
【メリット】
☆競合医院の場所を考えながら場所選びが出来る
☆科を跨いで診療や処方が可能
☆医療モール間の連携やしがらみに左右されることが無い
 
【デメリット】
▲調剤薬局がそばに無い場合がある
▲他のフロアの影響を受けることがある
▲医療モールと比べると認知力が下がる
▲一般テナントが多いため、契約期間が短い(更新料の頻度が高い)
▲クリニック入居のためのインフラ設備の確認が重要

上記は一般的な内容のため、建物や場所により該当しない場合もあります。

先生方が行いたい診療を明確化し、周辺住民のニーズを確認・検証を行い、
希望エリアの方向性を決めて、開業形態を検討することが良いと思います。
 
次回は、科目別面積と形状についてご紹介したいと思います。

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