クリニック開業コンサルタントについて

　開業準備を進めていくにあたり、開業コンサルタントのサポートは非常に重要な成功へのファクターです。しかし、開業コンサルタントといっても、実は得意分野、特徴は様々であり、ひとくくりにはできません。そこで今回は、開業コンサルタントの特徴等と選定の仕方について、お伝えしたいと思います。

　まず、開業コンサルタントの得意分野と特徴を知る時に大切なことは、そのコンサルタントが開業支援を行う事によりどのように収益をあげているのか、また、もともとはどのような職種についていたのかを知ることです。開業コンサルタントは大別すると、「医療関連企業系」と「独立系」の二つに分かれ、概要は以下の通りとなります。

【医療関連企業系】

【独立系コンサル】

　次に、開業コンサルタントの選定方法です。まず、簡単なことですが、選定の際には必ず何人かのコンサルタントと面談を行ってください。上述の通りで、それぞれ特徴、得意分野や考え方が違います。冷静に評価をするには、いくつかの選択肢をもって検討する必要があります。また先生の考えを伝えやすい関係を築くことが出来そうかという事も、大切な判断材料です。開業というのは、先生がコンサルタントに任せれば進む、というものではありません。コンサルタントと二人三脚で、試行錯誤をしながら進んでいくものです。その際に、コンサルタントに気を使って言いたいことが言えないようでは、結局良い方向に進まなくなります。そのようなことにならないために、面談時には過去の実績や考え方などの他に今まで育ってきた歴史や趣味や家族について等、色々なことを聞いてもらうと、徐々にイメージが沸いてくると思います。単純な相性も非常に重要な判断材料です。

　私は開業に関わる中で、先生や同業の方から色々な話を伺い、開業コンサルタントの資質としてこれだけは欠かすことが出来ないと感じたことが３つあります。

【①　物事を検討する際に選択肢を提供できること】

例えば、開業物件を検討する際に、１つの物件しか勧められないと、判断が難しいと思います。いくつか検討材料があり、それの相対評価を行っていくことにより、正確な判断がしやすくなります。

【②　経験に基づく引き出しが多くあること】

本で読んだこと、人に聞いたこと等が、そのままノウハウとして流用出来ない出来事というのは、よく起こります。その際に役に立つのが、どれだけ多くの物事を経験してきたか、どれだけ多くの予想外の出来事に逃げずに取り組んできたか、という本当の意味での経験値です。これがある人は、経験したことの無い事態に遭遇しても、多くの引き出しの中から最適解を見つけ出すことが得意な人が多いです。ちなみに、医院開業の経験以外の経験も当然役に立ちます。

【③　開業後のクリニックの事をよく知っていること】

どれだけ魅力的に見える開業の企画を組んだとしても、開業した後のクリニックでどのようなことが起こるのか、どのようなことを開業した後の先生方は悩んでいるのか、またその悩みに対してどのような手法で解決を図っているのか等の事を知らないと、全く説得力の無い企画になってしまいます。開業後の事をよく知っているからこそ、正しい方向に先生を導くことが出来るのです。

　良い開業コンサルタントとの出会いは、先生の開業を成功に導く確率を確実に上げることになります。しかしながら、コンサルタントというのは先生の代わりにはなれません。進むべき方向を案内し、検討材料を提供し、判断の仕方をお教えすることは出来ますが、最後に決断をするのはやはり先生です。「コンサルタントを入れたから安心」「お金を払ったのだから何でもやってくれる」というのでは、結局ご自身の開業に対して無責任になってしまいます。苦楽を共にし、一緒に問題解決に取り組み、末永くお付き合いできるコンサルタントとの出会いが出来ることを願っています。

ライフ・メディカル株式会社

代表取締役　田口　和宏