ライフプランとクリニック開業方針について(後編)

 前編では、ライフプランと開業の相関関係について述べさせていただきました。今回の後編では、ライフプランに則って開業された事例を紹介します。

 

【CASE1 皮膚科】
※※前提条件※※

 女性医師

 子供が小1と保育園児の2名

 子育てをしっかりとやりながら、開業していきたい

※※開業方針※※

 自宅から近くで開業し、子育てをやり切れる診療時間の設定にする

※※選択した開業形態※※

 従来より、下のお子様を通わせていた保育園から徒歩1分の場所にある医療モールにて開業。診療時間は9時から17時までとし、朝は子供を保育園に預けてから出勤、夕方は子供と一緒に帰宅している。

 自宅近くは皮膚科のマーケットとして潤沢ではなかったため、他科受診により認知されやすい医療モールを選択。

 所得層の高いエリアという事を鑑み、美容皮膚科にも力を入れることとした。


【CASE2 消化器内科】

※※前提条件※※

 子供が3人(5歳、3歳、1歳)

 行きたいと本人が言えば、医学部に行かせてあげたい(全員に対して)

 自宅 購入済み 転居不可(教育環境が非常に良く、その場所でずっと子育てをして行きたい)

※※開業方針※※

 子供が小さいので、出来れば家の近くで開業したいが、それよりも収益性を重視(子供の教育資金が将来にわたり多額にかかる可能性があるから)

※※選択した開業形態※※

 自宅から車で1時間の非常にマーケットが潤沢な場所で開業。消化器内科はもちろん、一般内科も診る。さらには、小児科が周辺に少ないという事情を鑑み、小児科も標榜。そのために院長は約1年間、小児科でアルバイトを行い、その後開業した。


【CASE3 眼科】

※※前提条件※※

 OPE、診察ともに自信はあるが、開業に際しては可能な限り金銭的なリスクを下げたい

 子供は1人(幼稚園児)、転居は可能

※※開業方針※※

 とにかく場所はどこでも良い、OPE、外来ともにマーケットの潤沢なところ

※※選択した開業形態※※

 自宅より2時間かかる場所での開業を選択。お子様の小学校進学に合わせ、都心へ転居(通勤は1時間になる)。


【CASE4 腎臓内科】

※※前提条件※※

 専門が腎臓内科であるがゆえ、自分には開業に対して何ら強みが無いと考えている

 高齢の親を実家に残しているので気がかりである

 転居は可能

 子供なし

 人と争うのは嫌い

 スリープクリニックでアルバイトを行い、睡眠時無呼吸症候群のノウハウを学んでいる(少しでも開業に付加価値を付けるため)

※※開業方針※※

 とにかくマーケットの潤沢なところで開業したい

 可能であれば、実家から遠くない方が良い

※※選択した開業形態※※

 当時の住居と実家の間の、マーケットが潤沢な場所で開業。

 エリア内に若干競合もいるため、競争力を上げるために日曜日の診療を行う。

 たまたま運送会社の倉庫が多いエリアであったため、睡眠時無呼吸症候群についての啓蒙活動を行う。


【CASE5 皮膚科】

※※前提条件※※

 女性医師

 中学生の子供1名

 未婚 故に自身が一家の大黒柱

 自身は不安になりやすい性格である

※※開業方針※※

 出来る限り安心できる材料は何か、人口が多いことか、競合が少ないことか、結果として所属する大学と連携でき応援してもらえるような開業が良いという考えに至る

※※選択した開業形態※※

 大学最寄りの駅の目の前の物件で開業。エリアの特徴として、ちょうどよいサイズの物件が存在せず、結果として15坪という非常に狭い物件を選択した。週に1回、大学で外来を行い、医局との連携を保っている。


 上記の事例では、そのすべてにおいて何かをあきらめ(マーケット、通勤時間、面積)、そのうえで地域のニーズに合わせたり、地の利を活かして診療方針を決定しています。


CASE1では、マーケットに対しては割り切り、美容皮膚科で穴埋めを行っています。

CASE2では、通勤時間を受け入れ、小児科標榜を行うことにより来院患者数を確保しています。

CASE3では、生活環境を変えてでも、マーケットの潤沢な物件を選んでいます。

CASE4では、日曜日を犠牲にして、安全性を担保しています。

CASE5では、狭い物件での開業をしっかりと検証し、大学との連携を確保しています。


 このように、ライフプランをしっかりと立てることにより、物事の優先順位を付けやすくなり、その結果として自信をもって選択をできるようになるのです。


ライフ・メディカル株式会社

田口 和宏
 

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