クリニック経営成功法則
USP前に決める事
①USPの前に決めること、それはミッションです。
マーケティング戦略を決める上で重要な要素の1つに、USP(Unique Selling Proposition)という概念があります。
USPとは、独自の売りと訳されます。つまり、あなたの商品・サービスを利用するために、「あなたのどこが特別なのか?」お客さんがあなたを選んで買う理由を定義したものです。USPを打ち出し、他のクリニックとの差別化を図る事は、あなたのクリニックを患者さんに選んでもらう上で非常に重要です。
例えば、中華街の中に数百の中華料理店があった時に、客側がレストランを選ぶのは難しいのではないでしょうか?どのレストランも自分の店の料理の味に自信をもっている事かと思います。しかし、人気があるところと無いところで二極化して、レストランがコロコロ変わる店舗もあれば、長年構えているところもあります。客側がレストランを選びやすくする、それを決定するのは、お店のUSP、すなわち、独自の打ち出し方にあるかと私は思います。
USPの概念は、1940年代にロッサー・リーブスによって、提唱された考え方です。そのUSPを世界に広めたのが、ジェイ・エイブラハムで、ジェイといえばUSPというくらい有名です。詳細はハイパワー・マーケティングという本に記載されていますが、ポイントを整理すると以下の3つの要素について考える必要があります。
①明確なターゲット→誰に?
②ユニークなベネフィット→何を?
③ユニークな特長→どうやって?
そして上記の3つの要素を決める上で、ベースとなるのはクリニックの理念・ミッションを定めるところから始まります。
ここが定まらないと、USPで打ち出すコンセプトに一貫性がなくなり、なんでも挑戦する組織になりますが、患者さんも一緒に働く人材もついていけません。
私の場合、2005年にWHOに統計で、日本の乳幼児死亡率が先進国でワースト2位だったという事実を成育医療研究センターに勤務しているときに知りました。大学で学んだ限りでは、日本の小児医療のレベルは世界トップクラスだと思っていたので、衝撃的だったことを覚えています。
なんとか小児の死亡例を減らしたいという一心で、小児の救急医療や集中治療を重点的に学んだのもこの時期です。
しかし、手を尽くしても救えない子供たちがいるのも事実であり、そのご両親の気持ちは痛いほどわかり、私自身も疲弊していきました。
精神的にも肉体的にも限界を感じ、「子供達がこんなに苦しむ前に、なんとか救ってあげられないか」と考える中で、思い当たったのが予防医療や、早期発見・早期治療に集中できる一次診療であるクリニック開業でした。
そのため、私が2010年有明で開業するときには、「国内の乳幼児(1?4歳)死亡率が先進国でワースト2位という状況を改善したい」という思いがあり、それがそのまま開業当初のミッションになりました。