クリニックのトラブルを防止する就業規則とは

クリニックで増加する労働争議

第1回のテーマは、「増加する労働争議」です。


厚生労働省が公表している「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、総合労働相談は9年連続100万件超、内容は「いじめ・嫌がらせ」が5年連続トップとなりました。総合労働相談、助言・指導申出、あっせん申請の件数はいずれも前年度と比べ増加しました。


総合労働相談件数は113万741件で、9年連続で100万件を超え、(前年度比9.3% 増)
そのうち民事上の個別労働紛争相談件数は25万5,460件(同 4.2% 増)
・助言・指導申出件数  8,976件( 同 0.6% 増) 
・あっせん申請件数  ? 5,123件( 同 7.3% 増)


民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」がトップとなりました。 
・民事上の個別労働紛争の相談件数では、70,917件(同6.5%増)で5年連続トップ。
・助言・指導の申出では、2,206件(同7.7%増)で4年連続トップ。
・あっせんの申請では、1,643件(同13.2%増)で3年連続トップ。


ここ数年の傾向として「いじめ・嫌がらせ」いわゆるパワハラ・セクハラが相当増えてきています。過去は、解雇が常にトップでしたが、ここ5年間は、「いじめ・嫌がらせ」がトップになっています。


クリニックにおいても当然ながら、パワハラに関する相談ごとは、増えることがあっても減ることはありません。


このように、日本全体でトラブルが増加している中で、クリニックでも同じようにトラブルに巻き込まれています。増加するトラブルを防止するために就業規則の整備が急がれています。


就業規則とは、事業所(クリニック)のルールを定めたものです。10人未満の事業所においては、届出の義務はありませんが、事業所のルールがなくてはトラブルのもとであり、最近では、労務トラブルを防止する観点からも、事前に規定を作っておくことをお勧めしています。


例えば、うつ病対策として休職期間の短縮があります。以前の就業規則では、休職期間は、1年とか3年とかの長期間を設定していましたが、最近では、職場のストレスからうつ病を発症するケースもあります。その場合に休職期間が問題になります。トラブル防止の就業規則では、休職期間を1ケ月から2ケ月へと大幅に短縮しています。これは、現代病ともいわれる精神疾患に対してクリニックを守る工夫の一例でもあります。


また、休職期間が4日以上になる時は、診断書の提出も義務づけています。いろんな理由から従業員が突然休みに入ってしまった場合を想定しての対策のひとつでもあります。さらに、出勤拒否が続くようであれば、連続休暇を理由に自然退職と規定することも合法的な手段となります。


クリニックならではの労務管理もあり、トラブルを防止するためや被害を最小限に収めるためにも、就業規則を整備しなければなりません。

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