医療のわかる税理士の選び方

クリニック法人化の税務支援

第6回のテーマは、「クリニック法人化の税務支援」です。

 

個人事業で医療機関を開業し、順調に推移すれば、4から5年経過すれば医療法人化を検討することになります。医療法人化(法人成りすること)する場合には、都道府県知事の認可が必要になります。その認可のタイミングは、都道府県のより違いますが、通常は年2回から4回程度しかありません。医療法人化の目安としては、所得税の課税所得金額が5000万円を超えてくるのであれば、税負担のメリットもあるために医療法人化を検討することになります。

 

医療法人化のメリット

 

1.税率の構造の違いによるメリット

個人診療所の場合、所得税と住民税をあわせた最高税率は55%ですが、医療法人の場合には、すべての税金をあわせても40%前後となります。
所得が低い段階では個人形態の方が税負担上有利となりますので、法人化後のシミュレーションをしっかり行った上で、法人化を検討します。

 

2.課税ベースが軽減するメリット

医療法人の場合、理事長など役員は法人から役員給与を得ることとなりますが、これは給与所得に該当して給与所得控除を適用することができます。
個人病医院では事業所得がそのまま所得税の対象とされるのに対し、医療法人ではこの給与所得控除部分が課税ベースから減少するため所得税を軽減することができます。

 

3.経費化できる金額が増える

個人病医院では必要経費とならなかったものでも、医療法人では経費化できるケースが多くあります。

 

・生命保険料:医療法人の場合には、契約者及び保険金受取人を法人とすることで、掛捨て保険部分を法人の経費とすることができます。

・家族役員への報酬: 個人病医院の場合、同一生計の親族に対する給与は原則として必要経費にはならず、一定の要件を満たした場合にのみ「青色専従者給与」として届出・承認を条件に必要経費とすることができます。しかし医療法人の役員給与は、職務に対して金額が相当であれば当然に経費とすることができ、一般的に個人病医院と比較してより多くの所得分散が可能となります。

・退職金:個人病医院の場合、事業主や専従者に対する退職金は必要経費にはなりませんが、医療法人の場合には適正な退職金規定に則った役員退職金は経費とすることができます。退職金は給与などと比較して税法上大幅に優遇されており、大きな節税を図ることができます。

 

4. 社会的信用度の向上のメリット

個人事業ではなく法人化したことで銀行やリース会社に対して信用度が増加します。

 

医療法人化のデメリット

 

1.社会保険への加入のデメリット

個人病医院の場合、常勤職員が5人未満であれば社会保険加入の義務はありませんが、医療法人の場合には従業員数に拘わらず必ず加入しなければなりません。
しかし職員への福利厚生としての社会保険への加入は、長期的な視点に立てば良いスタッフの確保などを可能とし、ひいては病医院の発展に貢献するものとも考えられます。また、医師国保に加入している場合にはこれを引続き適用し、健保は適用の除外とすることも可能です。

 

2.交際費に限度額が設けられるデメリット

医療法人の場合、出資金額などにより経費となる限度額が決まっています。一方で個人病医院の場合、交際費の必要経費には形式的な算入限度額はありませんが、家計費と事業費との線引きが明確にできない費用(飲食費やゴルフ代等)は税務調査時に否認される傾向が強いのに対し、医療法人の支出する交際費については、明確に個人の支出であると分かる場合を除き、その経費性を否認されることは少ないといえます。

 

3.解散時に剰余金が返還されないデメリット

平成19年の新医療法施行により、原則として医療法人が解散した場合、剰余金のうち拠出金額を超える部分については国・地方公共団体などへ帰属することとなりました。したがって新医療法施行後に設立された医療法人については、解散時に法人内部に資産が残らないよう意識してコントロールしていくことが大切となっていきます

 

医療法人化の手続きやメリットとデメリットは、非常に複雑です。是非、医療のわかる税理士にご相談ください。

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