クリニックのトラブルを防止する就業規則とは
クリニックでの解雇
第6回のテーマは、「解雇」です。
解雇は、できれば避けたい事態です。でも、最悪の事態を想定し、最小限度のダメージにおさえる工夫が、就業規則には必要になります。
トラブル防止の観点からは、就業規則内に禁止事項を可能な限り記載しておく必要があります。重要な注意点は以下となります。
・服装や身なりを事細かく規定しておく。
・データの持ち出しや書き換えを禁止する。
・勤務中についてメールやLineを禁止する。
・他事業所への就労制限をする。
・公序良俗に反しないこと。
・宗教活動や営業活動を禁止する。
・職場で知り得た情報を他に漏らさないこと。
解雇について、就業規則内に解雇事由を可能な限り記載しておく必要があります。また人間関係の悪化や抽象的な事案についても、ある程度は記載しておく必要があります。
・日常業務の中で他の従業員と協調性を欠くとき
・医師の診断により身体、精神の障害により、業務に耐えられないとき。
・従業員としての能力を著しく欠く場合、または勤務成績が著しく不良で、就業に適さないと認められたとき。
・事業の縮小等やむを得ない業務の都合により必要のあるとき。
・天災その他前各号に準ずる程度の事由があるとき。
・履歴その他の届け出に、重要な虚偽のあることが判明したとき。
・懲戒解雇に該当するとき。
・院長の指揮命令に従わないとき、クリニックの諸規則に違反したとき。
・服務規律を乱しクリニックの方針を遵守せず、クリニックの業務運営を妨げたりクリニックの業務運営に協力しないとき。
・日常業務の中で他の従業員との協調性を欠くとき。
などです。
解雇に至る経緯は、慎重に進めなければなりません。「解雇予告金を支払えば済む」という事ではありません。性急に事を進めると後で大きなトラブルになることがあります。
解雇するまでの手順としては、以下となります。
①問題行動を起こしたら、始末書を取る。始末書が取れない場合は、メモを残す
②問題行動が起きた時には、注意または指導する。注意または指導した場合は、必ずメモを残す。
①から②を繰り返すことが必要です。
その上で、再々に渡り注意指導したが、改善されないためやむなく解雇となるわけです。
解雇した場合は、解雇予告金を支払うことになります。通常は、解雇予告してから勤務することは、あり得ないため1ケ月分の解雇予告金を支払うことになります。
解雇予告金の例(常勤の場合)平均賃金×30日
平均賃金とは(前3ケ月間の総支払給与金額)÷(前3ケ月間の暦日数)
パートタイマーの場合も同様ですが、平均賃金の算出方法が異なります。
①(前3ケ月間の総支払給与金額)÷(前3ケ月間の暦日数)
②(前3ケ月間の総支払給与金額)÷(前3ケ月間の実労働数)×0.6
①と②でいずれか高い方を選択します。
解雇の場合は、社会保険労務士などの事前に相談されることをお勧めいたします。
不幸にも解雇をした場合に、後日に揉めることがないように、可能であるなら退職合意書をとっておくことも必要になります。退職合意書には、退職金を支給するかわりに、退職について双方が合意したことを確認するものです。